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梅雨の時期に気をつけたい食中毒

梅雨に特に気をつけたい、代表的な健康被害と言えば「食中毒」が知られる所です。食中毒の原因菌となる細菌類の大きな栄養分の一つは「湿気」。湿度や温度が高くなる梅雨は、細菌の繁殖に適した条件が揃いやすくなる時期なのです。そんな食中毒とは一体どんなもので、どのようにして発生するのでしょうか?

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食中毒とは

食中毒とは、食中毒の原因となる細菌、または食中毒の原因となる細菌から出される毒素に汚染された食品を口にする事で引き起こされる中毒症状の事。食中毒を引き起こす主な原因は「細菌」「ウイルス」です。代表的なウイルスによる食中毒ノロウイルスは、冬に多く発生しますが、この梅雨の時期に気を付けたいのは細菌による食中毒。

 

サルモネラ菌
サルモネラ菌

肉眼で見ることが出来ない細菌は、食品の中で秘かに発生し増殖していきます。細菌の多くは平均的な室温ほどで増殖し、人間の体温ほどに達すると増殖を活性化させます。また、細菌の多くは湿気も必要とします。つまりこの「温度」「湿度」など、細菌の繁殖に最も適した条件が揃いやすいのが梅雨の時期なのです。

食中毒に感染してしまうと、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、発熱などの症状が見られるなど直接私たちの健康に様々な弊害を与え、最悪の場合は死に至る場合も。食中毒の発生率の全体約3割は家庭内のキッチンで発生すると言われています。

 


キッチンの水回りは大量の細菌が!

その中でも特に細菌が発生している事が多いとされる場所は、

  • 食器洗浄用スポンジ
  • ふきん
  • シンク
  • まな板
  • 冷蔵庫の野菜室の底
などが挙げられます。

 

>>梅雨のカビ対策 キッチンのお掃除ポイントはこちらより

 

細菌性食中毒の種類

細菌性の食中毒は、食中毒の原因菌が食中毒症状を引き起こすメカニズムによって以下の様に分類されます。

 

細菌性感染型食中毒

細菌性感染型食中毒は、細菌に汚染された食品を口にする事で細菌が体内に入り、人の体内で病原性を持ち中毒状態になってしまう事です。 人の腸内で病原体となった細菌は腸内の組織に侵入して炎症を起こし、これが原因となって腹痛や下痢などの症状を引き起こします。症状が悪化すると血便を伴う場合も。
細菌性感染型食中毒の種類には以下の様なものがあります。

サルモネラ菌
サルモネラ菌は、牛や豚、鶏などの家畜の腸内か卵に存在する細菌です。家畜の食肉や卵などが、犬や猫などのペットやネズミ、ハエ、ゴキブリなどを介して感染します。低温や乾燥にも強い細菌で、冷凍庫の中でも繁殖する事が出来ます。サルモネラ菌が付着した食べ物を摂ってからおよそ半日~2日後から、腹痛、吐き気、おう吐、下痢、発熱などの症状が現われます。
腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオは、海水などに含まれる細菌。腸炎ビブリオが付着した魚介類を口にしたり、まな板などを介して体内に入る事で起こります。海水に存在するため塩分を好み、優れた増殖能力で短時間で繁殖します。しかし反面、真水や酸には強くありません。また、高温と低温に弱いのも特徴。約100度で数分熱すると死滅し、5度以下の環境ではほとんど増殖できません。摂取後およそ24時間以内にさしこむような強い腹痛が見られます。また、激しい下痢が何度も続くため脱水症状を引き起こす場合も。
病原性大腸菌
(O157など)
病原性大腸菌は、食肉や飲用水、人間や哺乳類の腸内に存在します。細菌が腸内で毒素を発生させる事により発症します。症状は発生する毒素により様々ですが、一般的に腹痛や下痢、血便、発熱などが見られ、症状が悪化すると死に至る場合もあります。
カンピロバクター
カンピロバクターとは、牛や豚、鶏などの家畜、または猫や犬などの腸内で生息する細菌。カンピロバクターが付着した食肉を加熱せずに生で食べたり、また加熱をしたとしても火の通りが不十分であるものを食べる事により発症します。初期の段階では、発熱や頭痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が表れ、やがて腹痛や吐き気、下痢などを伴うようになります。
赤痢菌
赤痢は、海産物や生野菜、生水などを感染源とする食中毒。ごくわずかな量の細菌でも感染してしまうほど感染力は極めて強い食中毒です。人から人へと感染が広まるので、人が集団で生活している場所などから発生する事も多くあります。お寿司やおにぎりなど手作業で作られた食品などを介したり、生水を飲む事により感染してしまう場合も。潜伏時間は3日以内で、発熱や下痢,おう吐、激しい腹痛、血便等の症状が見られます。
コレラ菌
コレラ菌は、感染者の便やおう吐物によって体外に出され、排泄物で汚染された飲料水や食品を介する事で体内へと侵入します。感染源は、海産物や生水、生ものなどで、不衛生な地域環境で感染するケースが多いようです。潜伏時間は10時間から5日。下痢や激しいおう吐が主な症状。

 

細菌性毒素型食中毒

細菌性毒素型食中毒は、細菌から発生した毒素を含んだ食品を口にする事で発症する食中毒。細菌性毒素型食中毒の種類には以下の様なものがあります。

黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は、人の鼻咽喉喉や手指、人や動物の化膿した傷口などに分布している食中毒の原因菌。直接手で作られるお寿司やおにぎり、サンドイッチ、お菓子などを介して発生。潜伏期間は約3日程で、激しい下痢や吐き気、腹痛、嘔吐、筋肉痛、発熱などの症状が見られます。
ボツリヌス菌
ボツリヌス菌は土や泥砂の中に存在している細菌。魚介類を使った食品などを介して食中毒を引き起こします。繁殖に必要な一定の条件が揃うと、猛毒「ボツリヌス毒素」という神経毒素を発生。ボツリヌス菌は、放っておくと死亡率が30%以上と言われ、ボツリヌス毒素は現在発見されている毒素の中では最も毒力が強いと言われています。

 

食中毒の対策

食中毒予防の3原則は、細菌を「つけない」「増やさない」「殺菌する」が基本です。食中毒の原因となる細菌は、残念ながら肉眼では見ることはできません。また私たちが口にする食品で繁殖していたとしても、無味無臭のため発見するのはなかなか困難なこと。しかし、私たちの生活環境の下では様々なところで食中毒の原因となる細菌が潜んでいるのです。幸いなことに食中毒の細菌のほとんどは、繁殖能力はあまり強くはありません。また、私たちの体に備わっている抵抗力で、少量であれば口にしても殺菌されます。日頃から上手に食中毒対策を取ることで、食中毒の発生を未然に防ぐことが出来ますので、梅雨の時期は特に気を付けたいものです。

>>梅雨の健康対策 食中毒はこちらより
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